レセプト点検システム
テストデータ562件 点検結果報告書

1. 要約

項目結果
対象レセプト562件(国保95件+社保467件)
データ読み取り全件正常(文字化け・破損なし)
点検結果指摘あり 17件(指摘総数18件: 要対応 高 3件 要確認 中 7件 参考 低 8件
指摘なし545件(97.0%)
特に重要な発見として、2026年6月改定で新設された併算定不可ルール(明細書発行体制等加算 × 電子的歯科診療情報連携体制整備加算)への抵触が2件検出されました。改定直後のルール変更への追従漏れとみられ、システム点検の有効性を示す結果です。

2. データ確認結果

2.1 2つのファイルの関係

お預かりした2ファイルは、同一医院・同一請求月の「国保分」と「社保分」であることを確認しました。患者の重複はなく(突合済み)、合わせて1医院1ヶ月分の全レセプトに相当します。

ファイル提出先レセプト件数合計点数
RECEIPTS.UKE国保連合会95件(+公費併用6件)115,077点
RECEIPTS (1).UKE支払基金(社保)467件(+公費併用12件)647,660点

2.2 データ品質

3. 点検結果(要対応リスト)

3.1 要対応 高 併算定不可(背反)への抵触 — 3件

電子点数表(支払基金公式データ)の背反テーブルに基づく指摘です。いずれかを取り下げないと査定対象になる可能性が高い項目です。

#保険レセプト患者内容
1社保No.74患者A(カルテ0000009641)明細書発行体制等加算 × 電子的歯科診療情報連携体制整備加算(再診)の同月併算定。2026年6月新設の背反
2社保No.115患者B(カルテ0000009469)同上
3社保No.378患者C(カルテ0000009390)SPT(20歯以上)と機械的歯面清掃(歯清)の同月併算定。歯清はSPTに包括されるため別算定不可
#1・#2は令和8年6月改定で新設されたルールです。該当加算の算定運用を改定後ルールに合わせて見直すことをおすすめします(今後も同様の請求が続く可能性があります)。

3.2 要確認 中 — 7件

#保険レセプト患者内容
4国保No.8患者D根面被覆(レジン充填)に対応するC系病名(う蝕等)がない。病名付与漏れの可能性
5国保No.18患者E暫間歯冠補綴装置の必須コメント(該当区分の記載)が摘要欄にない
6国保No.55患者F咬合調整の必須コメントが摘要欄にない
7国保No.68患者GPer病名があるのにP/G系病名がない(病名付与漏れの可能性)
8国保No.86患者H薬剤情報提供料を月2回算定。2回の算定日で投薬内容が同一のため、特例(処方変更時)に該当しない可能性
9社保No.35患者I同上(投薬内容同一で月2回)
10社保No.236患者J同上(投薬内容同一で月2回)

3.3 参考 低 — 8件

薬剤情報提供料の月2回以上算定が8件ありますが、いずれも算定日間で投薬内容の変更をデータ上確認できたため、特例(処方内容の変更時は再算定可)に該当する可能性が高いと判定しました。カルテ上の処方変更の記録があれば問題ありません。

対象: 国保No.68・No.85、社保No.50・No.171・No.178・No.304・No.336・No.434

4. 点検精度の検証と改善プロセス

今回は「システムの指摘をそのまま報告する」のではなく、指摘の一件ずつを元データ・公式マスターと突合して裏取りする検証を行いました。初回実行では111件の指摘が出ましたが、検証の結果その多くがシステム側の辞書不足による誤検知と判明したため、以下の改善を実施しています。判定ロジック自体の変更ではなく、参照データの補強が中心です。

段階指摘数実施した改善根拠
初回111件
改善192件病名分類辞書に「歯根膜炎」(根尖性歯周炎系)「脱離」(補綴物系)を追加誤検知した全レセプトに「急性化膿性歯根膜炎」等の正規病名が実在することを確認。同義病名が辞書に未収録だった
改善256件コメントコードの照合先に厚労省の全国版コメントマスター(3,759件)を追加歯科専用辞書546件のみと照合していたため、正規の汎用コメントコードを「不明コード」と誤指摘していた
改善322件フリーテキストコメントコードのマスター収録漏れを修正マスター変換処理のバグ(名称が空のコードを除外していた)
改善418件①薬剤情報提供料の特例条件(処方変更時は月2回可)を投薬データから自動判定 ②ナイトガード(口腔内装置)の装着を欠損補綴の装着と誤認するルールを修正①公式の算定回数テーブルに「特例条件あり」フラグが付与されていることを確認 ②誤検知4件全てで口腔内装置の算定を確認

検証の担保

5. 今回実施したシステム改修(開発項目)

  1. UKE自動取込機能(新規開発): レセコンが出力するUKEファイルを直接読み込み、点検システムの入力形式に自動変換。歯式(歯番)の復元、加算の展開、コメントの和暦復元、点数の自動突合を含む。従来必要だった手作業でのデータ起こしが不要になりました。
  2. 一括点検・レポート機能(新規開発): 数百件単位のレセプトを一括点検し、重要度別の要対応リストを自動生成。
  3. 公式マスター3種の組み込み: 厚労省配布の傷病名マスター(27,684件)・修飾語マスター(2,390件)・コメントマスター(3,759件)を照合基盤に追加。
  4. 点検ルールの精度改善: 上記4段階の改善(病名辞書補強、特例条件の自動評価、口腔内装置の識別、背反指摘への区分・新設日の注記)。

6. 現時点の制約と今後の改善計画

項目内容対応方針
包括(まるめ)チェック包括対象項目の別算定誤りは未検出(公式テーブル未取込)次期改修で包括テーブル(約5.2万行)を組み込み
縦覧点検(複数月)今回は単月データのため、月をまたぐ回数制限は未点検複数月のUKEを取り込めば自動で有効化(機能は実装済み)
特例条件の全面評価薬剤情報提供料以外の特例条件は「特例条件あり」の注記のみ発生頻度の高い項目から個別評価を追加
元データの点数不整合3件レセプトデータ側の問題の可能性レセコンベンダーへの確認を推奨